乳癌検診

乳癌がいつの間にか日本人の女性で1番多い癌になりました。乳癌は日本では外科で扱われてきました。今は乳腺外科という独立した科になっています。婦人科では基本的に乳癌は取り扱いません。しかし、おっぱいというと産科のイメージが強く、結局乳癌検診も産婦人科で受けられると考える人が多いようです。それで産婦人科でも乳癌検診をする施設が増えてきたように思います。今はおそらく結構多くの産婦人科で乳癌検診をしていると思います。当院でも乳癌検診はしています。ただ触診とエコー検査のみで、マンモグラフィーというレントゲンの機械はありません。マンモグラフィーは撮影も読影も難しいので、産婦人科で設置しているところは少ないと思います。

エコー検査だけでよいのか

エコー検査のよいところは、被爆しないので安心して何回でも受けられるということです。エコーは腫瘤性病変には強いので、多くの乳癌に対して有効と思います。マンモグラフィーでは見落とされがちな小さな腫瘤もエコーなら見えることがあります。特にしこりを触れるという時には効果があります、触れながらその部分を見ることができますから。

問題はエコーに映りにくい癌があるということです。微小腺管癌というのはパラパラと乳管という管の中にできて、腫瘤を形成しないのでエコーではほとんど見えません。ただしこの癌は石灰化することが多く、それはマンモグラフィーなら比較的簡単に見つけられるようです。ですから最終的にはマンモグラフィーまで撮影するほうが安心ということにはなります。

公的な乳癌検診の勧め(40歳以上)

40歳以上では熊本市の場合2年に1回偶数年齢の年度(4月から翌年の3月までの間に偶数の年齢になる方)にマンモグラフィー検診が低料金で受けられますので、この検診を受けられるよう勧めています。したがって乳癌検診を受けに来られた方が40歳以上で偶数年齢の年度であれば、当院で視触診とエコー検査をします、そしてヘルスケアセンター(熊本地域医療センターの裏にあります)を予約してマンモグラフィーを受けに行ってもらいます。40歳以上で奇数年齢の場合は自費でエコー検査のみをしますが、異常がなければ必ず翌年はマンモグラフィー検診を受けるように指導します。(注意;当院での熊本市の乳癌検診は年度末は2月までです、3月はヘルスケアセンターでマンモグラフィーを受け付けてもらえないのでできません、3月の熊本市の乳癌検診はほかのマンモグラフィーを設置している病院で受けて下さい)

40歳未満の乳癌検診

40歳未満の場合は熊本市ではマンモグラフィー検診がありません、だいたいどこの自治体でもマンモグラフィー検診は40歳以上のようです。重要なことは40歳未満では乳癌にならないということではないということです。30代でも乳癌になることはあります。公的な乳癌検診がないのは絶対数が少ないのと、おそらくマンモグラフィーがうまく映らない(乳腺密度が高いので腫瘍が映りにくい)というのが理由だと思います(詳しくは知りませんが)。この乳腺密度が高い人の場合がマンモグラフィー検診の問題点です。乳腺密度が高い場合はおそらくエコーのほうがよく見えると思います。しかしそれでもマンモグラフィーを撮る意味はあります。もしかするとエコーで見えない石灰化を伴う癌が見つかるかもしれないからです。お勧めは25歳と30歳、35歳くらいで1回ずつ乳腺外科でマンモグラフィーを撮って異常なければ間はエコーと触診だけでもよいかもしれません。少なくとも今の公的検診では40歳まで乳癌検診はないわけですから、その間を埋めるように検診を自分で組み立てる必要があるでしょう。当院ではマンモグラフィーを一度も受けたことのない方には、乳腺外科の受診を勧めています。

最も重要なのは自己検診

乳癌は乳腺にできる癌ですが、皮膚のすぐ下にできて、その皮膚も柔らかい部分なので触ればわかることが多いです。つまり自分で見つけることのできる数少ない癌の一つなのです。乳癌の患者さんの多くはしこりを自覚していることが多いと言われます。ただ触らなければ絶対わかりません、基本的に癌になっても痛みなどはありませんから、自分で触るか定期的に検診を受けなければ癌はわからないのです。触ってもよくわからないから触ってないと言われることがありますが、それでも触らなければ絶対わからないので、よくわからなくても触ってみることが重要です。しかも乳癌検診でも見逃しがあるという事実を認識する必要があります。乳腺が発達していてどれもコリコリしていてよくわからなくても触っていれば、何かできたときにはやはりわかります。乳癌検診で異常なくても自分で触っておかしいと思ったらまた受けるべきです、ここのこの部分は大丈夫ですか?と言えるくらい触っていればかなり高率に乳癌は発見できると思います。

自己検診の方法

生理のある人は生理の終わりごろくらいに、閉経後の人は月に1回定期的に行うとよいでしょう。癌は最初は周りを引き込みながら発育していくのでその周囲にひきつれを起こしやすくなります。また皮膚の表面も影響を受けて赤みがかったりくぼんだりすることがあります。もちろん大きくなると固く出っ張ったように触れたりもします。以下の手順に従って、月に1回検査をするようにして下さい。

 1;鏡の前で片方づつ腕を上げ下げして乳房にえくぼサイン(へこみ)やひきつれがないかどうかを調べます。

 2;入浴時に石鹸を乳房の回りに塗ってすべりやすくしてまず片側の腕を下げた状態で乳房全体をゆっくり反対の手の指先で触ってしこりがあるかどうかを調べます。次に腕を上げて同じように行います。同様に反対側を行います。ゆっくり行うことが大事です。

 3;乳頭(乳首)を圧迫して血性の分泌液がないかどうかを調べます

乳癌は女性の癌では一番多い癌ですが、実は死亡者数では一番ではありません。肺癌や大腸がんのほうが死亡者数は多いです。それだけ早く見つけられる癌ということだと思います。

 

婦人科ノートに戻る