婦人科の臓器

まず子宮や卵巣の勉強をしましょう(簡単に)

子宮子宮の絵

妊娠するところです、鶏の卵程度の大きさです、婦人科ではふつうの子宮の大きさを鶏卵大と言います。もう少し大きくなると鵞卵大(がちょうの卵 見たことはないですが)、さらに大きくなると女性手拳大、その次は手拳大、もっと大きいと新生児頭大、さらには小児頭大、それ以上は臍上なんセンチという表現になります。子宮はリンゴ大ですなどと言った研修医がいて、そういう言い方はないと怒られていました(僕は言いませんでしたよ)。子宮は基本は筋肉でできています(平滑筋という筋肉です、手足についている筋肉は横紋筋でこれとは違う種類の筋肉です)、妊娠したら皆さんもご承知のように相当に伸びて大きくなります、もともと鶏卵程度だったものが、10か月後には胎児が3㎏程度、胎盤が500g程度、羊水も1リットル程度(1㎏)で合わせて4.5㎏程度を収容するまでになります。しかしもっと驚くのはそれがお産と同時にあれよあれよと小さくなって数分で子宮は新生児頭大以下になります。不思議としか言いようがありません。ところで子宮の筋肉の中には内膜があります、ここで受精卵が着床します。ふかふかのベッドとよく言われますが、ホルモンの影響で排卵後の内膜は厚みを増して10㎜程度になり着床準備状態になります。

卵管

子宮の上のほうから(実は底部というので底になります、おそらく発生学的に底になるのだと思いますが、詳しいことは知りません、学生の時からそう覚えてますのでとにかく子宮の頭は底です)左右に伸びています、卵管間膜というプレスリーの衣装のような膜に包まれていますが、結構あちこちに動くようです。子宮から出たすぐは細くて峡部と言います、次第に太くなり最後は膨大部と言ってイソギンチャクのようになって終わっています。ここに排卵した卵が取り込まれます。精子は膨大部まで泳いできてここで受精すると教わりました(誰が見たんでしょうか?)。受精した卵を受精卵もしくは胚と言います。これは自分では動かないので卵管の中に繊毛(せんもう)という小さな毛が生えていてそれが少しずつ受精卵を動かして子宮の中に運んでいきます。この途中で着床してしまうと子宮外妊娠です、膨大部が多いですが、まれに一番細い峡部で妊娠することがあり、これは破裂して大出血することがあるので怖いです、膨大部妊娠は僕の感じでは結構大きくなってもなかなか破裂しないようなイメージはありますが、しないこともないです。それと膨大部妊娠は結構卵管流産になるように思いますが、これも僕のイメージなので信じないで下さい。

卵巣

卵が入っています、原子卵胞という状態でたくさん入っています。女性は生まれたすぐには200万個の原子卵胞があると言われますが、それがだんだん消失していって思春期になり生理が始まるころには数十万個まで減っています。最終的には生涯で400個程度が排卵されると言われますが、1回の排卵で毎回数百個の卵が消滅していることになります。なんかもったいない気もしますが、卵にも競争があるということでしょうか。

そのほか卵巣で気をつけたいのは卵巣腫瘍ですね、これは卵巣腫瘍のところで書きますが、卵巣には腫瘍もどきが結構できます。卵胞もどきもできるので日々の診察では惑わされることも多いです。もどきの多くは機能性のう胞とか卵胞のう胞というもので、おそらく卵胞が何らかの原因で勝手に発育してそのままになったものではないかと思いますがよく知りません、というかよくわかってないです。

腟(ちつ)

腟という言葉は子宮や卵巣ほど一般的には使わないようで、特に若い方はその部分をどう表現してよいかわからないようです。腟や陰唇という言葉も子宮や卵巣という言葉と同じようにふつうに使われると自分の症状を表現するときに困らなくてよいと思います。腟そのものの病気は少ないですが、カンジダ症などは腟の中に白っぽい豆腐を絞ったかすのようなおりものが溜まって、腟壁にくっついていたりします。洗浄して薬を入れればすぐに治りますがかなりかゆみがあるようです。腟はお産の時は本当に伸びます、鼻からスイカが出てくる感じと言われますが、まさにそんな感じですね。お産の直前までまさかここから子供の頭が出てくるなんて想像できないです、ある程度パンパンになったところで会陰切開をすることが多いので、最後は伸びるというより切れるという感じで生まれますが、昔は(会陰切開してなかったころは)おそらく伸びてたんだと思います。

 

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