エミッタ接地増幅回路-3 エミッタ抵抗と0.6vの怪

とりあえずバイアスのためのR1とR2を決めたとします。次に決めるのはRcとReです。これを決めれば回路が完成します。一般的にはまずReを決めるのが普通だと思います。Reをエミッタ抵抗といいますが、ここに何ボルトの電圧をかけるかが、実は最初のバイアス電圧にも関係してきます。なぜか?実はトランジスタを理解するうえでどうしても知らなくてはいけない、乗り越えなくてはならない鉄の決まり(というか性質)があります。それはNPN型のトランジスタの場合、ベースに電圧をかけると、エミッタにはベースから0.6v低い電圧が現れるということです。(PNP型だと0.6v高くなる)なぜそうなるのか?トランジスタのテキストにはそこにかなりのページを割いて説明してあるものもありますが正直ほとんどわかりません。とにかくそうなると覚えたほうがよさそうです。で、大事なことはここはきわめて強力に0.6v低い電圧が現れるということです、したがってここにつながるほとんどの部分がこの0.6v低い電圧に制限されます。これがトランジスタの摩訶不思議な性質ですが、とにかくこの事実を自分の感性の中に叩き込んで下さい。そうしないとトランジスタの回路設計はできません。逆にそれさえできればあとは何とかなるような気もします。この0.6vはP型からN型に流れるときに発生するので、1方向にしか電流を流さないダイオードというPとNをくっつけた素子でも同じように0.6v低下します。

エミッタ電圧

 

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